20才を迎えると、堂々とお酒を嗜むことができるようになりますね。大学の同級生や会社の同僚・先輩たちとの飲み会などで、お酒を飲む機会もあると思います。やっぱり、飲み会の一杯目といえばビールでしょうか? 人によっては、ハイボールやレモンサワーを頼むといった方もいると思います。
他にも、梅酒・カクテル系・ワイン・焼酎などさまざまなお酒の種類があって、自分好みのお酒を見つければよりお酒の場を楽しむことが可能です。その中で日本が世界に誇るのが「日本酒」。全国各地にさまざまな地酒があり、それぞれ異なる味わい・魅力を楽しめるのも日本酒の魅力です。
しかし、日本酒にも辛口や甘口、フルーティーな味わいのものなどいろんな味があるため、日本酒を頼むときに何を選んだらいいのか分からない方もいるでしょう。そこで今回は、日本酒に興味がある方や初心者が自分に合った日本酒を選んで美味しく飲めるように、日本酒の種類や魅力などについてご紹介していきます。
日本酒は5つの要素によって成り立っている
お酒によって原材料や製法などが大きく異なるわけですが、日本酒を楽しむうえで知っておきたいのが日本酒を構成する5つの要素についてです。日本酒は、主に以下の5つの要素によって成り立っています。
- 米
- 水
- 発酵
- 気候風土
- 蔵元・杜氏・蔵人
まずは、この日本酒を構成する5つの要素について詳しく知っていきましょう。
日本酒を構成する要素①米
日本酒を語るうえで忘れてはいけないのが、何と言っても「米」の存在です。米は、日本食文化の根幹を成す存在ですが、日本酒はその米が原料となっています。純粋な米の酒として、歴史とともに日本人に寄り添ってきました。
日本酒は、食用米とは異なる特別な品種を特別な栽培方法で育てられた「酒造好適米」と呼ばれる米を使用しているのが特徴です。この酒造好適米は、世界各国の酒の原料の中でも一番高価な原料といわれています。
日本酒を構成する要素②水
米と同じくらい日本酒に欠かせない要素が「水」ですが、日本といえば全国にたくさんの清流があり、日本酒はそんな日本だからこそ生まれたお酒ともいえるでしょう。日本酒に含まれている成分のうち約80%が水となっているため、その水質が日本酒の味わいに大きく影響します。
日本酒を製造している蔵元の多くは、やはり優れた水質の水が確保できる環境下にあるケースがほとんどです。日本酒は、清流の国・日本ならではの清らかなお酒と言っても過言ではありません。
日本酒を構成する要素③発酵
米と同じように、日本の食文化を昔から支えてきたのが「発酵食品」です。みなさんも普段から納豆や味噌など、さまざまな発酵食品を口にしていると思います。
日本酒も同様に、酵母や麹菌など目に見えない微生物の働きを応用して作られた発酵飲料です。発酵大国・日本だからこそ生まれたお酒であり、高度な技術が詰め込まれたその製法は、まさに「メイドインジャパン」という言葉がぴったり当てはまるでしょう。
日本酒を構成する要素④気候風土
日本酒といえば「地酒」という形で、その土地ごとの気候や食文化、地域の人々の嗜好を考慮して造られており、地域によって味わいや香りなどが大きく異なります。
その地酒の種類は非常に豊富で、最近では「日本酒バー」としてバラエティ豊かな日本酒を用意しているお店も増えており、飲み比べてその違いを楽しめるのも日本酒ならではの魅力です。
日本酒を構成する要素⑤蔵元・杜氏・蔵人
日本酒は、放っておけば自然にできるお酒というわけではなく、日本酒造りに関わる蔵元・杜氏・蔵人の伝統的な技が欠かせません。
蔵元・杜氏・蔵人が一丸となって生み出される日本酒は、それぞれの熱い想いや匠の技によって銘酒としてこの世に生み出されます。
日本酒には魅力がたくさん!他のお酒との違いとは?
日本酒は、酔うことやストレスを発散するためのお酒としてだけではなく、人間が持つ知的好奇心を満たす大人の嗜好品としても楽しめる飲み物です。例えば、友達や家族との仲をより深めるためや、ホッと一息つくために飲む方も少なくありません。
そこでここからは、他のお酒と比較して日本酒ならではの魅力をご紹介していきます。日本酒が持つ魅力を知れば、これから日本酒を飲むときの楽しさも倍増するはずです。
日本酒が持つ特有の10の魅力
- 引用温度帯が広く、冷やしても温めても楽しめる
- 夏は冷酒、冬は燗酒といったように、季節ごとに飲み方を変えられる
- いろんな料理との相性が良い(特に魚介類との相性抜群)
- アミノ酸などの旨味成分が豊富でコクがある
- 他のお酒と比べて身体を冷やす効果が低く、美肌効果も期待できる健康酒
- 全国各地ごとの特性を活かしたバラエティ豊富な地酒がある
- 日本を代表する「國酒」として、国内のみならず世界でも注目されている
- 神様に捧げる神聖な液体として伝承されてきた伝統のお酒
- 他のお酒と比べて高価な原料から造られる特別なお酒
- 並行複醗酵という高度な技術が必要な付加価値の高いお酒
初めてでも楽しめる!日本酒の4つのタイプを知ろう
みなさんの中には、日本酒を飲んでみようと酒屋さんやスーパーマーケットに足を運んだことがある方もいると思います。しかし、日本酒と一言に言っても「純米酒」「吟醸酒」「生酛」「山廃酛」「無濾過生原酒」などさまざまな種類があるため、どれを選べばいいのか分からないケースもあるでしょう。
また、純米酒一つを取ってみてもその味わいは千差万別のため、一体どのようにしてたくさんある日本酒の中から自分好みの一本を見つければいいのでしょうか? そこでぜひ知識として頭に入れておきたいのが「日本酒の4タイプ分類」です。
日本酒は、大きく分けると以下の4つのタイプに分類することができます。
日本酒のタイプ | 特徴 | 主な日本酒の種類 |
薫酒(くんしゅ) | 香りの高いタイプ | 大吟醸酒系 吟醸酒系 |
爽酒(そうしゅ) | 軽快でなめらかなタイプ | 普通酒系 本醸造酒系 生酒系 |
醇酒(じゅんしゅ) | 熟成タイプ | 純米酒系 生酛系 |
熟酒(じゅくしゅ) | コクのあるタイプ | 長期熟成酒系 古酒系 |
日本酒文化の発展や日本酒関連業界へのサポート、さらには日本食文化の継承発展への貢献を目的として活動している「日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)」では、発会当時から、たくさんの方に日本酒を楽しんでもらえるように日本酒を上記の4タイプに分類しました。
2万種類以上の日本酒のテイスティング検証を行なった結果、「香り」と「味わい」の組み合わせによって分けられた4つのタイプは、お店で自分好みの日本酒を見つける際や、お店の方におすすめの日本酒を提案してもらう際に役立てることが可能です。
では、それぞれのタイプごとに特徴を見ていきましょう。
日本酒のタイプ①薫酒
薫酒(くんしゅ)は、リンゴ・桃・洋梨・マスクメロン・バナナといった甘い果実や、ユリ・キンモクセイ・スミレといった花のような華やかな香りが特徴の日本酒です。味わいに関しては、比較的軽快なものが多い傾向にあります。
薫酒に該当する日本酒としては、主に「大吟醸酒」や「吟醸酒」と表記されているものが挙げられますが、「純米酒」や「無濾過生原酒」といった吟醸酒表記がない日本酒の中にも、フルーティーな香りを生み出す「吟醸酵母」を使用したものは薫酒に該当するケースも少なくありません。
薫酒は、1980〜1990年頃に起こった吟醸酒ブームによって一躍人気となり、その香り高い特徴からワイングラスを用いてフレンチやイタリアンに合わせることも増えました。さらに海外での日本酒ブームを牽引しているのも薫酒で、日本酒の中では特に現代のニーズに合っているといえるでしょう。
日本酒のタイプ②爽酒
爽酒(そうしゅ)は、スダチ・カボス・青竹・笹の葉・ハーブ・菜類など爽やかな香りが特徴で、日本酒の中では最も軽快な香味ですっきり飲みやすいタイプとなっています。また、「淡麗」といった表現がされることが多いのもこの爽酒です。
爽酒に該当する日本酒としては、主に「普通酒」「本醸造酒」「生酒」「生貯蔵酒」などが挙げられ、淡麗な日本酒造りをコンセプトにしている北海道や新潟ではよく見かけるタイプといえるでしょう。
1980年頃に淡麗辛口の日本酒がブームとなり、その多くはまさしく爽酒に分類されるものでした。現代人特有のライト嗜好にマッチしていることに加えて、価格帯も比較的リーズナブルなため日本酒の中でも人気の高いタイプです。
日本酒全体の中でも70%以上のシェアを占める普通種や本醸造酒のほとんどが爽酒に当てはまるため、日本酒の中でも一番多いタイプがこの爽酒といわれています。
日本酒のタイプ③醇酒
醇酒(じゅんしゅ)は、炊きたての白米、白玉粉、栗、稲穂、生クリーミのようなふくよかな香りで、お米のお酒ならではの旨味やコクを感じさせる点が特徴です。
醇酒に該当する日本酒としては主に「純米酒」が挙げられますが、その中でも特に「生酛」「山廃酛」と表記されたものが典型的な醇酒となります。
他に「無濾過生原酒」など香味要素の多い日本酒やアルコール度数が高い「原酒」の中にも、醇酒に該当するものは少なくありません。
醇酒は、全国各地の地域特性を反映させた「地酒」と呼ばれる日本酒に多く見られ、日本酒の王道であり伝統的な存在といえます。淡麗辛口ブームや吟醸酒ブームを経て、現在では最も日本酒らしさを感じられるタイプとして注目されています。
日本酒のタイプ④熟酒
熟酒(じゅくしゅ)は、ハチミツ・メープルシロップ・ドライフルーツ・干しキノコ・スパイスなどの重厚な熟成香が特徴で、さらに黄金色をした色調やとろみのある飲み口・濃厚な味わいが楽しめる個性的なタイプです。
熟酒に該当する日本酒としては、主に「古酒」や「長期熟成酒」と表記されているものが挙げられ、純米酒や吟醸酒などの特定名称酒の種類に関係なく、3年以上(特に10年以上)熟成させたものを一般的に熟酒と呼んでいます。
熟酒は、日本酒タイプの中でも非常に強い個性を持っており、さらに希少価値が高く高価なものが多いため万人受けするようなタイプではありませんが、他のタイプにはない独特の芳醇な香味を有しているため日本酒通にとっては嗜んでおきたいタイプです。
また、高級ワインや高級ウイスキーといった類が熟成を重要視するのと同様に、日本酒が世界の銘酒と肩を並べるためには、この熟酒の存在が必要不可欠といえるでしょう。
初めての日本酒!お店で上手に注文する方法とは?
居酒屋さんなどに行って日本酒を注文する際、よくあるのが「辛口の日本酒をください」という頼み方をするケース。実はこの頼み方は、お店の方からすると非常に困ってしまう頼み方なのです。
どういうことかというと日本酒の甘口・辛口は、飲む人によって感じ方がとても異なるため、一概に「これが辛口の日本酒です」とは言えません。実際にラベル辛口と表記されていても、飲んでみると甘く感じるといったケースもあります。そのため、上記のような頼み方をしてしまうと、店員側は非常に選びづらいのです。
他にも「純米酒をください」「生酒をください」といった頼み方した場合も、さまざまな味わいのものがあるため、なかなか適したものを提案するのが難しいというのがお店側の本音といえるでしょう。
では、お店で日本酒を上手に注文するには、どういったことを意識すればいいのでしょうか? ここからは、お店で自分好みの日本酒を見つけるコツについてご紹介していきます。
注文するときは日本酒4タイプの中から伝える
お店で日本酒を注文する際は、上記でご紹介した「薫酒」「爽酒」「熟酒」「醇酒」の4つのタイプの中から伝えると、お店側も絞り込みやすくなって自分に合った日本酒を提案してもらいやすいです。
例えば、「フルーティーな香りの薫酒が飲みたいです」「すっきりとした爽酒をください」「醇酒のようなコクのある日本酒が良いです」「熟酒を飲んでみたいけど飲みやすいものが飲んでみたいです」といったように伝えると良いでしょう。
このように4タイプの中から伝えることで、お店の方も要望にマッチした日本酒を提案しやすくなり、「思っていた味と全く違う日本酒が出てきた」といったミスマッチが起こりにくくなります。
いろんなお店でたくさんの日本酒を飲んでみて、自分好みの味のものを見つけることができれば、次第に自分好みの日本酒タイプが何かが見えてくるでしょう。
日本酒の種類とお店で注文するときのコツまとめ
自分に合った日本酒を見つけ美味しく嗜んでもらえるように、「日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)」が作った選択の指標が「日本酒の4タイプ分類」です。その日本酒の4つのタイプは、以下のように分類されています。
- 薫酒(くんしゅ)
- 爽酒(そうしゅ)
- 熟酒(じゅくしゅ)
- 醇酒(じゅんしゅ)
それぞれ香味に違いがあるのはもちろんのこと、コクのある飲み口のものや軽快でなめらかな飲み口のものなど大きな違いがあるため、いろんな日本酒を飲み比べてみて自分好みのタイプを見つければより日本酒を楽しめるでしょう。
この4タイプ分類は、お店で日本酒を注文する際にも役立ちます。それぞれの特徴を知ったうえで4タイプの中から飲みたい日本酒を伝えれば、イメージに合った日本酒を提案してくれるでしょう。